インターネットの普及で、TwitterやInstagramなどのSNSの利用者は増加の一途を辿っています。
近年では、広報担当の社員が、会社のアカウントを運用するケースも増えてきました。
それによるメリットも大きいですが、運用方法を間違えると会社の信用に傷を付けてしまう場合もあります。
そこで、今回はSNSを社員が使用するリスク、使用することによるメリットとデメリットについて解説します。
社員がSNSを使用することによるリスク
社員がSNSを使用することによるリスクは
- 機密情報の漏えい
- 顧客に対する暴言
- 不用意な発言による炎上
などがあげられます。
それぞれ1つずつ解説します。
機密情報の漏えい
無意識のうちに、業務中に知り得た機密情報を投稿してしまうケースがあります。
例えば携帯会社の人が「明日から〇〇で新型のスマートフォンが発表される!」などと呟く場合です。
本人に悪気は無くても、こういった内部の人間しか知り得ない情報が、誰でも閲覧できる状態にしてしまうのは情報漏えいにあたります。
この情報が重要であれば重要であるほど、会社の信頼は無くなってしまうでしょう。
顧客に対する暴言
業務中に起きたことに対して、腹が立つことは誰もがあると思います。
ですが、それを事細かにSNSに投稿してしまうのは大変危険です。
「仕事中に〇〇された。最悪!」
と悪口を投稿した際、その会社の人が見て「昨日会議した〇〇会社の〇〇だ」と分かったらどうなるでしょうか。
当然ですが、「この会社に仕事を依頼しよう」と思う人はいないでしょう。
このように、一時的な感情で大きく信頼を失ってしまう可能性があります。
不用意な発言による炎上
炎上とは、YouTubeでの発言や、Twitterなどに掲載した文章に対し、批判的コメントが集中してしまうことを指します。
SNSの利用者が急激に増えたことで、2000年代なかばごろからは社会問題にまで発展するようになりました。
近年では、インフルエンサーが自社従業員だという身元を明かさずに、ステルスマーケティング(通称:ステマ)をした企業が問題視され、炎上しています。
ユーザーの中には「炎上しそうな発言はないか」とSNSを巡回、監視するという愉快犯も存在するため、現代は不用意に差別的な発言をすれば、炎上してしまう危険性が高いです。
社員がSNSを使用することへの対策
SNSによるリスクについて解説しました。
ですがSNSを社員がやること自体が悪いわけではなく、メリットも大きいです。
実際に社員がSNSを使用するならば、
- ガイドラインの策定
- SNSの勉強会・セミナー受講
- 社用端末の管理
など、炎上しないように対策を施しましょう。
ガイドラインの策定
- お客様に関わることは呟いてはいけない
- 個人情報がわかるような写真は投稿しない
などをガイドラインで示し、炎上する可能性のある投稿をそもそもしないようにルールを決めておきましょう。
SNSの勉強会・セミナー受講
特に若手の社員では、業務におけるSNSの運用経験がないため、個人のSNSの使い方と混同してしまう傾向にあります。
企業としてSNSを運用する際、気を付けなければいけないことを勉強会やセミナーにて、必要な知識や心構えを理解してもらいましょう。
社用端末の管理
SNS投稿で怖いのは、プライベートのアカウントだと思って個人の意見を呟いたが、呟いたのは企業アカウントだったという「誤爆」です。
これを防ぐには、社用端末を用意し、企業用のアカウントにしかログインしないという方法が有効です。
社員がSNSを利用することのメリット
SNSのデメリットや炎上への対策について解説しました。
ここまで見ると「SNSは使わない方がいいんじゃないか」と思う人もいるかもしれません。
ですが、上手に使いこなせば社員がSNSを利用するメリットも多数あります。
低予算でプロモーションができる
SNSは基本的に無料で利用できます。
無料で利用できるにもかかわらず、全世界の人の目に触れる可能性があり、ツイートが共感を生んだり、バズったりすれば、認知度のアップに繋がります。
幅広い層の認知度を獲得できる
SNSは若者層が中心ではありますが、近年では50代や60代の高年齢層も徐々に利用者が増えています。
今まではチラシや電話営業が高齢者へのアプローチ手段でしたが、現在はSNSによる認知度も獲得できるようになりました。
年代層を問わずにアプローチができ、幅広い層からの認知度を獲得できるのはSNSならではの強みです。
自社のファンを作ることができる
SNSの発展により、誰でも自分の意見を発信できるようになり、そのコメントに共感できる人や興味を持った人が、その人のファンになるという導線ができました。
これは個人だけではなく、企業アカウントも同様です。
つまり、発信する内容が支持されれば、自社のファンを作ることができます。
自社のファンは値段やサービスや商品の内容よりも「この会社のファンだから購入する」という層になる可能性があるため、売上を延ばす大きなきっかけになります。
サービス、求人への問い合わせが増える
SNSで情報を発信していると、人の目に触れやすくなり、求人への問い合わせが増えやすいです。
例えば動画制作がメインの会社なら、動画制作に関する役立つ情報を紹介するなどして自社HPへのアクセスを促す導線として利用できます。
問い合わせの数が増えると、受注に繋がる数も増える傾向にあります。
また、求人サイトだけではなくSNSでも求人を掲載すると、その会社の雰囲気が分かり応募しやすくなります。
志望度の高い求職者があつまる
現在は、SNSをとおして採用活動を行う「ソーシャルリクルーティング」が注目されています。
その理由としては、業務内容はさることながら、どんなミッションを持っている会社なのかをSNSでの投稿で確認できるからです。
その性質上、求人情報サイトではない導線から応募をしてくる人は比較的志望度が高い可能性が高くなります。
会社のHPやコーポレートサイトは、自分で検索しなくては中々見る機会がありませんが、SNSなら気軽に見ることができ、「この会社と相性がよさそう」と、優秀な人材に興味を持ってもらいやすいです。
求人サイトを見て「就職できそうなところを探している」求職者よりも、SNSを見て「ここで働きたい」と思った求職者では、後者の方が志望度の高い求職者が多いのは分かりやすいでしょう。
言語化力が上がる
知名度を延ばすには、注目を集めるための文章や、共感を呼ぶ文章を書くのが必須です。
そんな文章を考えているうちに、ボキャブラリーの増加や情報整理の技術があがり、言語化力が上がります。
社員がSNSを利用することのデメリット
反対に、社員がSNSを利用することによるデメリットも複数あります。
継続的な発信には時間がかかる
SNSで注目をあつめるようになるには、どうしても時間がかかります。
発信する内容もさることながら、継続して発信していることが大事だからです。
すぐに結果が出る、即効性のある施策ではないといえます。
SNS利用に費用がかかることも
SNSに登録すること自体は無料ではありますが、YouTubeを利用した発信をする際は、カメラや照明などの機材費用やスタジオレンタル代などがかかります。
お金を絶対にかけなくてはいけない訳ではありませんが、費用がかかるケースもあるようです。
顔バレの可能性がある
写真や撮影した映像に顔が映りこんでしまったり、生放送などをしていると、顔バレの可能性があります。
社員でSNSを担当するのであれば、顔が映っても問題がない人物を選定するのが望ましいでしょう。
社員がSNSを継続するためには
SNSのメリットやデメリットについて解説しました。
現在、SNS運用をする企業が増え、運用するのが当たり前になりつつあります。
そんな中で企業として大事になってくるのは、社員に無理なく継続してもらうための仕組みを作ることと言えるでしょう。
業務として、普段のタスクに追加するのでは、モチベーションを保つのには限界があるからです。
SNSを社員が楽しみながら運用できるルールを紹介します。
SNSの対応するしないを社員の意思に委ねる
まず、前提としてSNSをするかどうかは社員本人の意思に委ねることが大切です。
乗り気ではないのに、無理に更新しても長続きしませんし、不満やストレスがたまりやすくなってしまい信頼度が落ちてしまいます。
あくまで社員の意思に委ねましょう。
SNS対応に具体的なメリットを用意する
SNSを対応することで得られるメリットを明示しましょう。
例えば、フォロワー数に応じた手当を毎月支給したり、投稿が大量にいいねやリツイートされた場合、それに応じた手当や特別休暇を付与するなどのメリットが考えられます。
まとめ
社員のSNS運用によるリスク、メリット、デメリットについて紹介しました。
正しく運用すれば、会社にとっては利益がありますが、対応に不備があると大きく信頼を失いかねない諸刃の剣です。
リスク管理を徹底し、戦略的にSNSを活用しましょう。