安否確認システムとは?その概要と導入のポイント、主なサービスを解説

この記事は約13分で読めます。

地震、台風、パンデミックなどの緊急事態が発生した際、企業としては従業員の安否確認を行い、事業継続や早期の再開が当初の目標となります。

しかし、管理者が従業員一人ずつメールや電話で連絡を取っていては全員の状況を把握できるのはいつになるとも分かりません。

また、普段は使わない伝言ダイヤルを利用するマニュアルを用意していても、有事にスムーズに全ての従業員が使いこなすのは難しいところがあります。

そんな場合に備えて用意しておきたいのが「安否確認システム」です。

緊急事態発生時の従業員との連絡にシステムを導入して自動化することで、管理者の状況把握のしやすさ、手間の減少を実現し、従業員にも連絡方法が簡素化されるといったメリットがあります。業務の復旧に向けての素早い対応を支えてくれるツールです。 本記事では安否確認システムの概要、メリット、導入に向けた選定などのポイントを解説します。

安否確認システムとは

安否確認システムとは、災害時などに従業員の安否を確認するためのシステムです。

災害発生時、企業においては、事業を継続すること、ないしは、停止してしまった業務/事業を再開することが求められます。そして、その際に欠かせないのが、従業員およびその家族の状況の把握です。

従業員は、企業にとって重要な資産ですので、その状況を確認し、把握していくことは極めて優先度の高い事項だと言えます。

緊急時の従業員の状況確認においては、従来は緊急連絡網を用意して電話(やメール)で管理者が連絡をとるというルールを作っている企業が多かったのですが、緊急時には予期せぬ事態が起きるものです。

電話が混線して繋がらない、タイミングが合わず掛け違いになってしまう、といった状況も想定されますし、そもそも管理者の負担が大きすぎることも課題でした。

こうした安否確認におけるレスポンス時間、手間、確実性の不足を補うことができるのが安否確認システムです。緊急事態発生時の連絡、状況の集計をシステムを導入して自動化することにより、管理者の手間を減らし、情報の確実性を高め、従業員にも利便性をもたらす仕組みとなっています。

安否確認システムのメリット

安否確認にシステムを導入して、緊急事態の連絡などを自動化/効率化しておくことには、多数のメリットがあります。それぞれ見ていきましょう。

災害時における迅速な状況確認

安否確認システムを利用することで、災害発生時に管理者を介さず、自動で安否確認連絡を行えることは大きなメリットでしょう
そもそも管理者に何らかの問題が発生することもあり得ますし、連絡網などの仕組みでは途中で誰かに問題が発生していれば上手く連絡が回らないことが想定されます。システムを利用することにより、誰かに連絡が付かなくとも自動でその他の従業員とは連絡が取れるようになります。この仕組みによって、管理者の負荷が軽減されます。

災害時における連絡手段を増やすことができる

連絡手段を増やすことができるのもメリットの一つです。従来の電話・メールだけでなく、システムを利用することでスマホアプリ・Web・SMSなど複数の手段を利用することも可能となります。

局地的な緊急事態が発生した場合、電話やメールだけでは緊急時の連絡ルートとして不安が残ることがその背景にあります。携帯電話の周波数帯や回線の混雑、メールセンターのひっ迫により連絡が付かないことが想定されます。スマホアプリやWeb、SMSなどを別のルートとして用意しておくことで連絡できる確率をあげることができます。また、緊急時では電話を取れないこともあり得るため、利用者側もタイミングを取りやすくなる点もメリットです。

災害時で連絡がつかない時のために、細かい設定が可能

安否確認システムでの連絡では、返信がくるまで反復連絡し続ける設定もできます。
人手では大きな手間がかかりますが、システムなので機械的に繰り返し返信があるまで連絡し続けてもリソースがかかりません。

また、安否確認システムを利用した場合、安否確認の回答状況は自動で集計されます。全社的な連絡状況や安否未確認者リスト等を瞬時に把握することが可能です。
緊急時には管理者は様々な対応に手が取られることが想定されるため、集計などの手間がかかる作業を自動化できることもメリットとなります。

災害時における情報共有

サービスによっては、企業(管理者)側から従業員へ安否確認情報を送るだけでなく、従業員に災害時の情報共有の場を提供できることも大きなメリットです。情報共有の場を提供することで、有用な情報の迅速な交換、連絡が取れることによる安心感などの効果が得られます。ツールによりますが、双方向でのメッセージ機能、掲示板機能などが備えられたシステムもあります。

また、安否確認システムでグループを設定して、担当者ごとに連絡する範囲を決めておくと連携の効率が向上します。例えば、下記のようなグループを作るシーンが想定できます。

  • 被災地エリアに居住する従業員だけに安否確認連絡
  • 安否確認の集計データに基づき、出社困難者をグルーピング・個別対応

災害時以外でも情報収集・共有

安否確認システムで情報共有機能を用意しておくと、災害時以外でも利用することが可能です。災害以外の緊急事態での連絡方法として利用するのも一つの有効活用方法です。

例えば、コロナ禍での管理手段の一つに、下記の利用方法が考えられます。システム上のデータは残しておくことができるため、後で必要となった場合に証跡を用意するのにも便利です。

  • コロナ禍における従業員の健康管理(報告と集計)
  • 毎朝決まった時刻に従業員が現在の体温や諸症状の有無を連絡するルールを作り、二次連絡用の手段とする

また、特に緊急的な目的でなくとも、情報共有機能は利用可能です。社内イベントのスケジュール管理ツールとしても利用できます。

例えば、健康診断・年末調整などの連絡、ミーティングの案内・日時調整、社内イベントの広報・出欠確認など、日常的な業務にも活用が考えられます。

安否確認システム導入のポイント

実際に安否確認システムを導入する際には抑えておきたい2つのポイントがあります。

事前に訓練を行い、安否確認システムに慣れることができる。

安否確認の際の連絡手段は、普段利用しているものや利用したことのあるものが望ましいです。緊急時にはイレギュラーなことも多く、利用したことのないツールだと過剰に混乱やミスを生むことになってしまいます。

実際に利用する際のルール、フローを用意し、安否確認システムの使い方を事前共有しておきましょう。その上で、安否確認システムを利用した安否確認の訓練が必要となります。

安否確認システムの選定の際には、訓練(テスト)などの機能を有し、慣れる機会を作れるシステムを選びましょう。情報共有機能などは、普段から別用途で利用できるシステムが慣れの面でも便利です。

従業員の人数や営業所等の数など規模に合ったシステムを導入する

安否確認システムが対応できる組織体制、人数の範囲を把握して導入を検討しましょう。複数の管理者をたてて、管理できる範囲を適切に設定できることも大切です。

また、システム規模と利用組織、利用者数のアンマッチはコストの無駄になり得るため、こちらの点でも注意が必要となります。

安否確認システムの選び方

安否確認システムを選定するためのポイントを確認します。利用方法の想定、機能の充実度、コストなどに注目しましょう。

導入目的を考える

まず最初に考えるべきなのは、どのような場面で安否確認システムを利用することを想定するのかという点です。

一般的には、大地震の安否確認など災害時に利用することを想定します。これに加えて、台風・豪雨・豪雪時の注意喚起・業務連絡、新型コロナウイルス感染症などの感染症対策といったシーンも具体的に想定できるものです。

また、付加的な利用方法として、テレワーク時の健康管理など、緊急事態以外の平常時にも利用できるシステムもあります。平常時の活用も見込む場合には、以降の機能やコスト面での検討時の観点が変わってきます。

緊急時の利用を重視するのか、通常時の利用も見込むのかを大きく絞っておきましょう。

各種機能の充実度

安否確認システムには、様々な機能が実装された製品が存在しています。自社に必要な機能、実際の緊急時にしっかり役立つ機能を揃えたサービスを利用しましょう。

自動通報機能エリアごとに災害の予測情報にそって自動的に連絡を行う機能。
地震ならば震度X以上、台風ならば居住県が想定ルートに入った場合など自動的な通報トリガーを設定できる機能です。
自動再送信安否が確認できるまで、定期的な連絡を送り続ける機能です。
時間の予約機能なども含みます。
連絡手段の多様性メール、電話、Web、スマホアプリ、SMSなど利用手段を複数用意していることも機能の一つです。
安定運用これまでの稼働実績やシステム所在地が分散されているかを考慮します。
また運営する企業の情報も確認しておきましょう。
状況の自動集計、検索安否の確認状況を集計して表示する機能です。
グループごとの集計などが可能かどうかもチェックしておきたいポイントとなります。
管理者の負担管理者がシステム利用のためにどれだけの作業をしなければならないかを把握しましょう。
家族の安否確認従業員とその家族もフォローできることで、社員の安心につながります。
多言語対応多様性を許容した組織としての対応です。
ある程度の規模を持つ企業は検討が必要となる機能です。

主な安否確認サービスの紹介

ここまで、安否確認サービスについて解説し、安否確認サービスのメリットを紹介してきました。
では、具体的にどんなツールがあるかご紹介します。

安否確認サービス2

「安否確認サービス2」は、災害時の安否確認を携帯電話やパソコンで行うクラウドサービスです。

単にメールの一斉送信をするだけではなく、災害時に必要な安否確認情報集計対策指示の3つの機能が含まれた次世代型の安否確認システムです。

このサービスには、自動送信、自動集計、掲示板などの機能が備わっています。気象庁の災害警報に連動して自動で安否確認連絡を実施し、地震や津波、特別警報にも連動して自動で通知が送信されるため、休日や夜間の災害でも迅速な安否確認が可能です。
また、回答結果を部署ごとにわかりやすく自動集計し、利用者が回答した最新の情報を管理者権限をもつユーザーがいつでもリアルタイムで確認することができます。さらに、全社で利用できる掲示板だけでなく、限定されたメンバーのみが利用できるグループメッセージ機能も備えています。

初期費用は無料で、月額料金は6,800円〜(税抜)からとなっています。また、30日間の無料お試しがあります。

レスキューナウ

安否確認サービス「レスキューナウ」は、災害時にメールやアプリを利用して、社員の安否状況を把握するシステムです。

災害時、担当者に代わって自動で安否確認メールを配信し、従業員からの回答はシステム上で自動集計されるため、災害時の安否確認業務における負荷が大幅に軽減できます。
管理者も回答者もログインID・パスワードを入力せずログインすることが可能で、いざという時でも、即座に利用できるのが強みです。

また、アプリPUSH通知、個別指示メール、一斉連絡もできる「コミュニケーションツール」としても活用できるのが、レスキューナウの特徴です。

安否確認サービスとして、20年以上の提供実績があり、様々な災害での稼働実績があるため、信頼度で選ぶなら、レスキューナウは良い選択肢になるでしょう。

セコム安否確認サービス

「セコム安否確認サービス」は、災害時に自動で安否確認システムが起動し、対象地域の従業員に安否確認メールを送信するサービスです。

安否確認の一斉送信から集計まで一元管理され、地震・災害・インフラ障害などの発生時に、社員の安否確認や被災確認の初動を速やかに把握できるよう、タイムリーな行動指示と状況把握が可能です。

また、万が一の時に備え、すべてを機械任せにはせず、24時間365日体制のオペレーションを実現しており、BCP(事業継続計画)の一端を担う、充実したサポートが特徴です。

オクレンジャー

「オクレンジャー」は、災害時に自動で安否確認システムが起動し、対象地域の従業員に安否確認メールを送信するサービスです。

自動配信や自動集計、直感的に操作のできる専用アプリなど、使いやすさを追求したシステムで、誰でも使いやすいのが特徴です。
また、サーバーを国内外(海外2カ所、国内1カ所) のデータセンターに設置しており、システムの冗長化を図られているのも、他安否確認ツールとの大きな違いといえるでしょう。

大規模な災害時はキャリアのメール遅延障害が発生することがありますが、オクレンジャーはメール遅延障害の影響を受けずにメッセージ受信できるアプリを提供しているため、安否確認を即座に行えるので、安否確認のスピードを重視するならオクレンジャーがおすすめです。

エマージェンシーコール

安否確認システム「エマージェンシーコール」は、災害・事件・事故に対する事業継続計画(BCP)を実行するうえで必要な「従業員の安否確認」、「指示事項の通知・確認」を支援するサービスです。

エマージェンシーコールのメリットとしては、一人当たりの連絡先を最大10件登録可能で、連絡がつくまで最大100回繰り返し発信など、安否確認の回答率100%にこだわった独自の機能があります。

セキュリオで「安否確認」もかんたんに

LRMのセキュリティ教育クラウド「セキュリオ」は、企業における「人」のセキュリティを向上させるクラウドサービスで、導入社数は1,800社以上の信頼のサービスです。

セキュリオの安否確認機能は、従業員が緊急時の連絡先となるメールアドレスを登録しておくだけでOK。緊急事態発生時には管理者が登録された連絡先にメールを送信します。メールへのリアクションはURLをクリックして、Webサイトで情報を入力するだけ。緊急時にログインなどで手を煩わせることもありません。

管理者向けにはメール回答状況の自動集計や、緊急時のメールのテンプレート、連絡先登録の督促機能など管理コストを減らすための仕組みが用意されています。

また、従業員が登録したメールアドレスを管理者が閲覧できないようにすることもできるため、プライバシー対応も万全です。

※安否確認機能はカスタマイズ機能としてご利用可能です。まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ

安否確認ツールについて紹介しました。

企業の管理者にとって、災害発生時には事業の継続と早急な復旧が重要なミッションです。
安否確認システムを利用することで、スムーズな連絡、状況確認が実施でき、管理者のミッションをサポートしてくれます。

安否確認システムの導入・選定に際しては、主な利用目的訓練の可否組織の規模とあったシステム機能の充実度合いコスト面などが検討のポイントとなります。

情報セキュリティ対策認証取得を目指す組織体制・ルールの構築リスクマネジメント
タイトルとURLをコピーしました