コンプライアンスという言葉を誰もが一度は聞いたことがあると思います。
コンプライアンスとひとえに言っても、その範囲は、「法律」「社内のルール」「企業の倫理」「道徳」などなど、かなり広範囲の事を指しており、イメージがしづらいかもしれません。
「セキュリティ対策を担当しているけど、コンプライアンスってよくわからない…」
「漠然と危機感はあるけど、何をすればいいかわからない…」
そんな悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
企業を経営するにあたって、コンプライアンス(法令遵守)の違反は、企業の売り上げやイメージに大きな影響を与えてしまう可能性があり、最悪の場合それがきっかけで会社が倒産してしまうリスクがあります。
取り返しの付かない事態に陥ってしまう前に、コンプライアンス対策を行いましょう。
そこで今回は、コンプライアンスの違反事例を交えつつ、コンプライアンス違反が起こる原因と対策について紹介します。
また、社内のコンプライアンスについてお考えの方へ、近年のパワハラ防止法の施工などを受け、LRMでは、代表的なハラスメントについて、概要や、企業が講じるべき措置などについてまとめた資料を無料で配布しています。こちらからダウンロードできますので、ぜひご活用ください。
コンプライアンスとは
コンプライアンス(Compliance)とは、直訳すると「要求や命令に承諾、追従すること」という意味で、企業経営においては主に「法令遵守」という意味で使われています。
つまり、コンプライアンス違反は「社会秩序に反さずに公正・公平に業務を行うべきところを違反した」という意味です。
現在では、法令遵守だけでなく
- 社内のルールを守れているか
- 社会の規範や倫理観から外れていないか
- 道徳に反するものではないか
といった、より広範囲の判断軸を持つ考え方に変化してきています。
従業員のコンプライアンスが注目を集める背景
なぜ、ここまでコンプライアンスに注目が集まっているのでしょうか。
源流を辿ると、1980年代の3公社の民営化(三公社五現業)で、政府が主導となり、企業の経営がより自由にできるようになったことが大きなきっかけです。
自由度が増した代わりに「自己責任体制」を強化したことで、企業に対するさまざまな規制が排除され、企業の経済活動に大きな責任が生まれたことが背景にあります。
近年では、インターネットの普及により、情報化社会が加速した結果、企業の不正や不祥事が次々と明るみになり、様々なコンプライアンス違反が露呈するようになりました。
また、セクハラ・パワハラなどに代表される「ハラスメント問題」、給料・残業代の未払いなどといった「金銭的問題」、従業員の過労死などの「労働環境問題」などなど、労働者軽視ともいえるような出来事が多いことから、
「ウチの会社は大丈夫かな?」
「これもコンプライアンス違反じゃないか?」
など、自分も被害に遭っていないかどうかという点に強い興味を持つようになったのも、大きな要因と言えます。
従業員のコンプライアンス違反の事例
では、実際に従業員がコンプライアンス違反をしてしまう事例として、どんなものがあるか、具体例を交えて紹介します。
ハラスメント問題
ハラスメントとは「嫌がらせ」と訳されます。
有名なハラスメント問題では、女性に性的な言動をしたり、過度なスキンシップをするなどは「セクハラ」(セクシャルハラスメント)や、道徳や倫理に反する、精神面に対する嫌がらせをする「モラハラ」(モラルハラスメント)があげられます。
また、仮にハラスメントは加害者が「そのつもりはなかった」としても、相手が不快な気持ちになったらハラスメントです。
上司という立場を利用し、過度な叱責や暴言などを使うことは、重大なコンプライアンス違反と言えます。
金銭的問題
この場合の金銭的問題とは、給料や残業代の未払いを指します。
本来、正当に支払われるべきお金が支払われないのはコンプライアンス違反です。
逆に、従業員が本来残業が必要ないのにもかかわらず、残業扱いにして残業代を不当に受け取ろうとする場合もコンプライアンス違反となります。
金銭的問題は、従業員との関係に大きな亀裂が入るため、管理を徹底しましょう。
労働環境問題
牛丼チェーンで一層問題視されるようになった「ワンオペ」や、飲食店の長時間勤務と連日勤務などといった、過酷な労働環境もコンプライアンスの違反です。
近年は、過労死する従業員が出た企業があるなど、年々外部や従業員からの視線が厳しくなっています。 従業員の確保、労働時間の短縮など、根本的な問題を解決しましょう。
情報漏洩(ろうえい)問題
顧客の個人情報や、取引先の情報が外部へ流出することを「情報漏えい」といい、重大なコンプライアンス違反となります。
もし起こってしまった場合、取引先や顧客から社会的信用がなくなり、倒産のリスクも一気に高まってしまいます。 内部情報の取り扱いに関しては、細心の注意を払いましょう。
また、コーヒーショップなどでノートパソコンを開いて仕事をしたり、SNSで仕事についてつぶやく事も、情報漏洩の危険が高くなってしまうため、「不特定多数が閲覧できる状態」で仕事をしたり情報を書いたりしないようにしましょう。
従業員のコンプライアンス違反が起こる原因
コンプライアンスの事例について紹介しました。
コンプライアンス違反は、どんな会社でも身近であり、いつ起きてもおかしくないと言うこと理解できたかと思います。
次に、従業員のコンプライアンス違反が起きてしまう原因を紹介します。
知識がないため、知らずにコンプライアンス違反をしてしまう
そもそも、コンプライアンスを理解していないというケースが意外と多いです。
そもそも何をしてはいけないのかが分からず、境界線が分からないうちにコンプライアンス違反をしてしまいます。
過剰なノルマ設定で社員を追いつめてしまう
特に営業職の方で多くきかれるのが、「現実的ではないノルマ」を科されてしまい、なぜノルマを到達できないのかと上司から追い詰められてしまうケースです。
精神的に追い詰められてしまい、社員の退職や社員のうつ病発症などの原因になってしまいます。
内部に防ぐ仕組みがない
そもそも、「マニュアルが無い」「内部監査が無い」「研修をしていない」などのように、コンプライアンス違反を防ぐために行う仕組みが構築できていないケースです。
人間はミスをする生き物であり、従業員1人1人の意識だけでコンプライアンスを遵守するには、どうしても限界があります。
業務の一環として、コンプライアンス違反の対策をする仕組みを作りましょう。
従業員にコンプライアンス違反を起こす「動機」を作ってしまう
従業員にコンプライアンス違反をする理由は何でしょうか。
それが、純粋に個人のミスであればミスが起きないように対策をすればよいですが、従業員が意図的に起こすケースもあります。その理由としては「給料が安い」「上司との信頼関係が崩れている」など、会社に対して不満が大きくなっているなどです。
コンプライアンスの対策は、ミスを防ぐだけでは不十分であり、コンプライアンス違反を起こしてやろうと従業員に思われないように、待遇の改善や人間関係の正常化が求められます。
コンプライアンス違反が発生する「機会」がある
仕事終わりに、会社のノートパソコンを持ち帰る従業員を飲み会に誘っていませんか?
業務中、従業員が1人しかいない時間帯はありませんか?
このように、コンプライアンス違反が起きてしまう機会を意図せずに作ってしまってはいないでしょうか。
リスクマネジメントの原則は、そもそも重大な問題が起きるかもしれない機会を減らすことです。業務中や業務終了後に、そんな機会がないか洗い出し、対策に役立てましょう。
コンプライアンス違反を「正当化」してしまう
ミスばかりする従業員に対し、過度な叱責をしてしまうケースとして「こいつは怒られても仕方がない」という個人的な感情が先行してしまうケースがあります。
コンプライアンス違反は、どんな理由があっても正当化できるものではありません。
教育の範疇を超えた言動が多数見られていないか、確認をしましょう。
従業員のコンプライアンス違反を起こさないためには
従業員のコンプライアンス違反の事例を紹介しました。
「ウチも危ないかも」と、感じた場合は早急に対応が必要です。
次に、コンプライアンス違反を起こさないための対策を紹介します。
コンプライアンスマニュアルを作成する
コンプライアンス違反を防ぐためには、してはいけない事を示すマニュアルが必要です。
- 会社外へのデータの持ち出し
- 会社で知った情報をSNSや公共の場での発言禁止
など、具体的に何をしてはいけないかを共有しましょう。
社内規則やマニュアルを作成し、違反を防ぐことを徹底しましょう。
内部監査を実施する
内部監査とは、組織の内部にいる人が行う監査で
- 業務の不正防止
- 業務の効率化
を目的として実施されます。
コンプライアンスマニュアルがあっても、それが順守できていなければ何の意味もありません。
特にハラスメント、情報漏洩などは、自身の評価が落ちたり、賠償になることを恐れて、隠ぺいされてしまう可能性があります。
健全な経営をするためにも、内部監査は定期的に行いましょう。
コンプライアンスに関する相談窓口を設ける
コンプライアンス違反だと思っていても、企業規模が大きくなればなるほど、業務の範囲はどんどん広くなっていくため上司に相談する時間がないという場合もあるでしょう。
また、そもそもセクハラを受けているということを、上司に話しづらいというケースもあります。
そんな時は相談窓口を設けて、匿名で誰でも相談できるような環境を作りましょう。
コンプライアンスに関する研修・セミナーを実施する
コンプライアンスを守るには、従業員に正しい知識と意識を持ってもらう必要があります。
- コンプライアンスはなぜ遵守しなくてはいけないのか
- もし違反したらどんなことが起きてしまうのか
- 隠ぺいすると何故ダメなのか
などを、正しく伝え、コンプライアンス遵守に対する意識を持ちましょう。
eラーニングで効果的に従業員教育
従業員のコンプライアンス違反について、原因や対策についてお話ししてまいりました。
故意にせよ、過失にせよ、何よりもまずはコンプライアンスについて「従業員が適切な知識を持っておく」こと。 そのための従業員教育が前提、不可欠です。
とは言え、従業員教育をするというのは、準備や費用、日程調整などの様々なコストもかかり、また、その効果も測りづらいものです。
セキュリオのeラーニング機能をご利用いただくと、従業員教育を簡単3ステップで効果的に行っていただくことができます。
集計や採点は自動化されるため、お客様は、「90種類以上の中から教材を選定し、ワンクリックで従業員に配信する」だけでOK。
もちろん、コンプライアンスに関する教材も複数取り揃えております。
さらに、ほかにも企業のセキュリティを一元化・自動化しながら向上させる機能を取りそろえています。
まとめ
コンプライアンスは、いかなる事業をおこなう上でも遵守する必要がある大事なルールです。
意図しないところで会社の信頼を堕とさないように、コンプライアンスに対して正しい知識を身に着けて、コンプライアンス違反を未然に防げるようにしましょう。