はじめに
「個人情報」と「プライバシー」について、一見似た意味に感じるかもしれませんが、実は違いがあります。今回はこの用語の違いについてお話していきたいと思います。
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それぞれの定義
結論として、個人情報は「本人を識別できる情報」であるのに対して、プライバシーとは「他人から干渉されない権利」のことを指します。実際に用語の詳細を見ていきましょう。
プライバシー
「個人や家庭内の私事・私生活。個人の秘密。また、それが他人から干渉・侵害を受けない権利。」(小学館「大辞泉」より)」とされています。
個人情報
個人情報保護法では、「特定の個人を識別することができる情報」とされています。
個人情報についてはこちらのブログをご参照ください。
両者の違いを郵便物を例に考えてみましょう。
住所や宛名などは「個人情報」に該当しますが、郵便物の中身は場合によっては「プライバシー」に該当します。当たり前の話ですが、一般的に郵便物の中身は他人に知られたくない情報ですよね。履歴書などが入っている場合は個人情報に該当します。
このように、個人情報は「この情報は個人情報」、「この情報は個人情報ではない」といった識別をすることができますが、プライバシーは「これがプライバシー」と対象を特定することができません。あくまでもプライバシーとは”権利”のことであり、人の主観によるものであるという点が特徴です。
余談ですが、日本で初めてプライバシーの権利を法的に保護されるものとした判例は、三島由紀夫著書「宴のあと」に関する事件と言われています。背景として、この作品の中で元外務大臣の人物をモデルとして出版したところ、1961年にモデルとされた本人からプライバシーを侵すものであると訴えられました。結果的に裁判沙汰となり、初めて日本で裁判で「プライバシー」について言い争った出来事となりました。この事件をきっかけに、ドラマや映画に「この物語はフィクションです」というテロップがつけられるようになりました。
「プライバシーマーク」の由来
プライバシーマーク(以下、Pマーク)とは個人情報を守る体制を作った事業者に対して付与されるマークですが、名前の通り「プライバシー」という用語が使われています。
この背景として、Pマークはプライバシーの侵害のない安心・安全な社会の実現への願いを込めて作られました。個人情報保護法やJISQ15001の定めた個人情報保護についての規格は、企業や団体などの事業者が「個人情報」を適切に取り扱う方法を規定したものであり、プライバシーの保護を直接の目的とはしていません。ただし、このような法律や規格が守られることで、意図しない「個人情報」の取り扱いが抑制され、結果的にはプライバシーも保護されるようになっていくのです。
取り組みで言えること
Pマーク取得に必要なことの中で、個人情報を洗い出していく作業があります。ここで洗い出すのはあくまでも”個人情報”ですが、個人情報を守ることによってプライバシーを守る体制づくりを行っているとも捉えることができます。
例えば給料情報自体は個人情報には該当しませんが、人によってはプライバシーとして捉えることもできます。このように個人情報を守る体制を構築していく中で、給料情報などのプライバシーに関わる情報も保護する体制づくりを目指すことができます。
個人情報を守る体制を構築していく中で私達は「プライバシー」という権利を守る体制も作っているという意識を持ってみると、一段と違った視点でPマークをみることができるようになっていくのではないでしょうか。
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※以下出典記事