2014年6月の取得件数が全国で58件にのぼるなど、プライバシーマークの取得件数は近年増え続けています。
そうして取得したプライバシーマークを活用して事業拡大に役立てている企業がある一方で、取得に価値を見出せない、または取得したものの、結局更新を断念する企業も少なからず存在します。
世間一般に馴染んできた感のあるプライバシーマークだからこそ、取得するメリットを改めて確認してみましょう。
現在の取引が継続しやすくなる
自社の事業に必要な業務を他社に委託する、または他社から特定の業務を委託されている、という企業は多く存在しますが、ここでは特に「他社から特定の業務を委託されている」側にとってのメリットです。
通常、業務を受託する際には、定期的な契約を結び、期間が満了になると契約を更新する、というケースがほとんどです。
その契約更新の際に、これまでは問題がなかったにせよ、次回の契約更新の際にはプライバシーマークの取得が新たに要件として加わる可能性があります。
特に最近は、個人情報保護に関する動きが活発になってきており、業務の委託元としても、お客さまの個人情報保護に関する体制を確立している企業をパートナーに選ぶ傾向は、今後ますます強まっていくでしょう。
つまり、新規に利益を獲得する以前に、まず現在の取引を維持することそれ自体に、プライバシーマークが役に立つ可能性があると言えます。
新規の取引を獲得しやすくなる
例えば、A社がB社に個人情報を扱う業務を委託したとして、仮にB社が個人情報の漏えいなどの事故を起こしてしまった場合、その個人情報漏えいについての責任はA社にある、という事態が考えられます。
つまり、A社は「適正に個人情報を取扱っている委託先を選ばないと、問題があった時に責任を取るのはあなたですよ」と、法律から通告されているわけです。
このように、個人情報を取扱う業務の委託先を選定する際、背負うリスクを最小限に抑える方法の一つとして、プライバシーマーク取得を基準に置くことが考えられる現状としては、逆にプライバシーマークを取得していることが、競合との比較優位になり得ると言えます。
個人情報を大事にする社風の構築
上に挙げたメリットは、会社の存続の為には欠かせない要素であることは間違いありません。プライバシーマーク取得に踏み切る企業の多くが、上記のような外部からの影響をきっかけとして、取得を検討していることも事実です。
しかし、そういった取引上の優位性のみを目的に据えると、「プライバシーマークさえ取得できればいい」という考えに至ってしまいがちです。結果として、会社の業態に沿わないルール作りをしてしまい、せっかくのルールが形骸化してしまう恐れがあります。
プライバシーマークの取得を目的とするのではなく、取得をきっかけとして、大切な個人情報を適切に取り扱う社風が構築されれば、先に挙げたメリット以上に、会社の事業継続に寄与される可能性があります。そしてそれこそが、長期的な展望における「取ってて良かった」と感じることが出来る、最大のメリットと言えるかもしれません。