「情報セキュリティ10大脅威」とはIPAが毎年、前年に発生した社会的に影響が大きかったと考えられる情報セキュリティ事案から10大脅威を選出してまとめたものです。
そんな情報セキュリティ10大脅威が今年も発表されました。そこで、10大脅威を全10回に分けて一つずつご紹介していきたいと思います。10大脅威には「個人編」と「組織編」があるのですが、今回は皆さんにも身近な「個人編」がテーマです。
第3位 ネット上の誹謗・中傷・デマ
概要
元来インターネット上は非常に匿名性が高く、また、TwitterをはじめとしたSNSなどの普及により、より匿名性高く自分の意見を発信することが簡単になりました。
不特定多数の人と簡単につながることができるという点では魅力的ですが、一方で、匿名性を悪用して、人のことを誹謗中傷したり、フェイクニュースと呼ばれるようなデマを流したりという行為も横行するようになりました。
この脅威は誹謗中傷やフェイクニュースの対象となった被害者が精神的苦痛や私刑と呼ばれるような制裁を受けてしまう可能性があることはもちろん、発信した側の加害者も社会的責任を負うことになる可能性もあります。
続いて、脅威の具体的な要因をいくつかご紹介します。
1. 影響を考慮しないインターネット上への発信
相手のリアクションなどを考慮せずにボタン一つで情報を発信できてしまうことから、その発信による影響などを考慮せず、妬み嫉みや個人のストレス発散などの理由から、特定の個人に対する誹謗中傷やデマなどを発信してしまうことがあります。
2. 匿名性を過信した安易な発信
SNSをはじめとしたネット社会は非常に匿名性が高いです。
平等に意見発信ができるという考えがある一方で、その匿名性を過信して、普段言えないようなことを簡単に発信してしまう可能性もあります。
ただ、完全に匿名なわけではなく、警察などが調査すれば身元は特定されますし、また、場合によっては一般ユーザーによって過去の投稿などから身元が特定されて自分自身が批判の対象になってしまう可能性もあります。
3. 情報の真偽を確認せずに拡散
デマやフェイクニュースは発信者が大元であることはもちろんですが、その内容の真偽を確かめずに同調したり面白がったりして拡散する人も多く存在しています。
また、親切心や正義感からデマやフェイクニュースの拡散に知らず知らずのうちに加担してしまっている可能性もあります。
特に、コロナ禍のように明らかになっていない部分が多い問題などが発生した際には、デマやフェイクニュースによる影響は大きくなる傾向にあります。
対策
今回はネットを使うそれぞれの人の視点からの対策をご紹介します。
1. 発信者
発信者はまず、情報モラルやリテラシーをしっかりと身につけておくことが大切です。
例えば、誹謗中傷やデマの拡散などが一般モラルとして良くないということ、場合によっては法的責任が問われる可能性もあることなどを認識することが大切でしょう。
また、投稿前にその情報は本当に発信していいものなのか、本当に正しい情報なのかなどを確認する癖もつけておきましょう。
2. 閲覧者
閲覧者の視点で大切なことは、安易に情報を信用しないということです。
ネット上などで見た情報でも、信頼性のあるものなのか自分自身で確かめる癖をつけるようにしましょう。
3. 被害者
被害者は、信頼できる知人や公的な相談機関等に相談するようにしましょう。
また、過度な誹謗中傷などを受けている場合は、警察や弁護士へ相談することも大切です。
さらに、可能であれば弁護士などと協力しながら、当該書き込みの管理者やプロバイダーなどへ情報削除依頼を行うことも検討することが望まれます。
ネット上の書き込みに対してはどうしても一人で対処しようとしたり反論したくなったりするものですが、被害が大きくなる前に第三者を頼って早期の解決を図るようにしましょう。
まとめ
今回は、「情報セキュリティ10大脅威(個人編)」の第3位をご紹介しました。
ネットはリアルタイム性の高い情報を得やすく、また、自分の意見を簡単に発信できる点では非常に便利です。ただ同時にストッパーが弱くなることから、自分がすぐにこの脅威の加害者になってしまう可能性、また、被害者になってしまう可能性を認識して行動することが大切です。
次回は、「第2位 フィッシングによる個人情報等の詐取」をご紹介します。