多くの企業が、新卒に求める人材として「リーダーシップ」をあげています。ところで、「リーダーシップ」とは一体何でしょうか?
リーダーシップとは?
「リーダーシップ」は、主に経営学や心理学の分野で盛んに研究されています。しかし、まだ「リーダーシップとは~である」という明確な定義があるわけではありません。実際に多くの心理学者や経営学者、会社の社長や会長が「リーダーシップとは~である」というように述べていますが、その定義はいずれも完璧には一致しません。
つまり、就活生はESを書くときや面接において、このように学者や経営者の間でも意見がまとまっていない「リーダーシップ」というよくわからない謎の単語と向き合わなければいけないわけです。しかし、いくらリーダーシップの定義は様々だと言っても、それらの定義の中にも、幾つかの共通点を見ることができます。それが「目的を示す」ことと「人を巻き込む」ということです。
「目的を示す」とは、自分はこうしたいんだ、こうやりたいんだという思いを対外的に明らかにするという意味です。そして、「人を巻き込む」ということは、その目的を達成するために、多くの人に協力を乞うという意味です。
なぜ会社は存在するの?
ところで話は変わりますが、この世の中にはなぜ「会社」というものが存在しているのでしょうか。この問に関しても様々な応答が考えられますが、1つの答えを述べるならそれは「一人で実現できない経営活動を、集団で実行するために存在する」と考えることができます。
どういうことかというと、会社で生産しているもの、例えば車だったり、冷蔵庫だったり、ソフトウェアだったり、サービスだったり、といろいろありますが、これらは殆どの場合「一人」で生産することはできません。一人ではなくて「組織で」行動することによって、初めて生まれてくるサービスは山ほどあります。そのサービスを生み出すのが「会社」です。
ところで就活は、その「会社」に入るための一つの手段でした。ここで、会社はどのような人材を求めるかというと、上記で述べたとおり、「一人で実現できない経営活動を、集団で実行する」ことができる人材を求めています。
つまり、何らかの実現したい「活動」というものが存在していて、それを実現するために多くの人を巻き込み、集団を組織する能力が必要というわけです。これは、リーダーシップの意図するものと同じ意味です。このような背景があって、会社側は就活生に「リーダーシップ」を望んでいる、と考えることができます。
多くの就活生は、「リーダーシップを取った経験」を聞かれると「リーダーをした経験」を答えます。自分は○○部のリーダーで、100人の部員をまとめました。などと言うわけです。しかし、前述したような背景が正しいことを仮定して考えると、この自己PRは間違っています。
たとえ自分がリーダーになっていなくても、「自分は所属している部活にこんな疑問・不満を抱いていました。その疑問・不満を解消するために、リーダーではありませんでしたが、自主的に多くの部員に働きかけることで、皆で協力して疑問・不満を解消する事ができました。」という「目的を示す」「人を巻き込む」という2つの要素が確実に含まれた自己PRのほうが優れているということになります。
確かに、最も簡単にリーダーシップを示すことができるポジションはリーダーでしょう。しかし、リーダーを務めたことがリーダーシップを発揮することになるわけではありませんし、逆にリーダーじゃなくてもリーダーシップを示せることに注意しなくてはいけません。