パスワードに代わる認証方法として、利用される機会の多い生体認証の1つが指紋認証です。
指紋であれば、一人ひとり固有のものであるし、盗まれたり偽造されたりなんてこともなさそうだし安心…と考えている方、多いのではないでしょうか。
しかしながら、実は最近「写真から指紋が盗難される」という危険性が指摘されています。
というのも、デジタルカメラはもちろん、スマホ搭載のカメラも性能がどんどん良くなっており、2,000万画素を超えることもざらとなっている昨今。
そんな高性能なカメラで手の写真を撮った場合、くっきり指紋が写ってしまいます。
実際に写真から指紋を複製し、生体認証に利用したところ不正アクセスできてしまったという検証事例も存在しているため、注意が必要です。
しかしながら、写真を撮る際にはついついピースサインをしてしまうもの。それを封じられてしまうのは困りますよね。
実は、下記のようないくつかの点に注意さえすれば、写真に指紋が写ってしまっても問題はありません。
2,000万画素以上のカメラでアップの写真を撮らない
2,000万画素を超える性能のカメラでバストアップの写真を撮った場合、ある技術を使えばその写真から指紋情報を抜き取り、再現することが可能です。
また、全身写真の場合でも、8,000万画素以上のスペックのカメラで撮影した場合、指紋情報の取得が可能であるとされています。
もっとも、「明るい場所で撮影している」「ピントが合っている」などの条件が揃っている必要があるのですが、最近のカメラは自動でピントを合わせてくれるなど、その条件に合致するようなクリアな写真を撮影する手助けをおこなってくれるため、注意が必要です。
また、遠くから撮れば問題ないのでは?と思われるかもしれませんが、バストアップの写真であれば、3~5メートル以上離れた場所から撮影した写真でも、ピントと明るさなどの条件を満たしているとき、十分に指紋情報を抜きだすことが可能であるとされています。
そのため、2,000万画素を超える高性能なカメラでは、うかつに手(指紋)の写真は撮らないほうが無難です。
SNSへ写真をアップロードする際には画質を下げる
では、高性能なカメラで手(指紋)が写った写真を撮ってしまった場合、SNS等へアップロードすることはできないのかというと、そういうわけではありません。
写真をアップロードする際に、画質を下げてしまえば、指紋情報を抜き出されることなく、写真を公開することが可能です。
ちなみに、LINEやFacebook、Twitterは、デフォルト設定で投稿時に画質を落とす仕様となっています。
※設定変更をおこなえば、オリジナルに近い画質で写真をアップロードすることは可能ですが、その場合には指紋をぼかすなど、対策をおこないましょう。
指紋認証技術を始めとする生体認証システムは、セキュリティを高めることはできますが、変更のきかない個人情報を利用するシステムです。
たまたま軽い気持ちでアップロードした写真から個人情報が抜き取られ、悪意ある人に利用されることのないよう、取扱いには注意しましょう。