以前、iPhoneのロックをFBIが解除したというニュースが、セキュリティ業界にちょっとした騒ぎを巻き起こしました。
騒動の内容を簡単にまとめておくと、銃乱射事件の犯人が持っていたiPhoneをFBIが調査するために、appleに対して、そのiPhoneのロックを解除できるように要請したが、apple側がプライバシー保護の名目のもと、その要請を拒否したという騒動です。
しかしその後、FBI VS appleの争いが白熱するかと思われた矢先、とある会社がFBIに協力して、ロックを解除してしまったのです。
その一般企業にFBIが支払ったお金は、なんと「100万ドルを超える」と言われています。
私たちは、この日本円にして1億円を大きく上回る金額が支払われたという点から、次のような事実を読み取ることができます。
「iPhoneのセキュリティを破るためには1億円以上の大金が必要」
「私たちは、iPhoneにたった数分の設定変更を施すだけで、突破するために1億円もかかるセキュリティシステムを構築できる」
今回は、その「たった数分」で実施することが可能、かつお手軽なiPhoneにおける3つのセキュリティ対策をお伝えします。
会社の業務でiPhoneを利用されている方も多いと思いますので、特に業務で利用する立場を中心として、実質的なセキュリティ対策を考えたいと思います。
(1) 盗み見に気をつける
いきなり当たり前の対策で、拍子抜けしたかもしれません。
しかし、
- 満員電車の社内で取引先顧客の社名が入ったプレゼン資料を閲覧
- ランチ中に、背後を気にせずに、お客様のメールを確認
そんな経験は無いでしょうか?
そしてそんな時、たまたま近くに取引先の役員がいたとしたら・・・?
最悪の場合、あなたが公共の場でiPhoneを開いたことによって、会社規模の取引が停止になるかもしれません。
この盗み見は、セキュリティの用語では「ショルダーハッキング」と呼ばれています。
ショルダーハッキングを防止することは、セキュリティ対策における基本中の基本です。
(2) 複雑なパスコードを設定する
数字4ケタの、いわゆる「簡単なパスコード」は、おすすめしません。
パスワードを突破する際には、よく「総当り攻撃」が用いられます。
「総当り攻撃」とは、パスワードの設定に使用可能な文字の全ての組み合わせを試すことで、力技でパスワードロックを突破する、暗号解読法のことです。
なぜ4ケタのパスワードがダメかというと、そんな総当り攻撃に弱いから…も、もちろんですが、最大の理由は、ショルダーハッカーに暗記されてしまうからです。
また、iPhoneの中身はデフォルトで暗号化されていますが、その暗号化には、実はiPhoneのパスコードが利用されています。
よって、複雑なパスコードを設定することで、
- ハッカーにログインされにくくする
- 暗号化を強固にする
という、一石二鳥の対策が施せることになります。
(3) リモートワイプ設定をする
いくら強力なパスコードを設定していても、もし端末を紛失してしまった場合には、とてつもない恐怖に襲われることになります。
人間は、「ひょっとしたらセキュリティを破られるかも…」という僅かな可能性にも恐怖を感じてしまうものです。
そんな時に使えるのが「リモートワイプ」です。
リモートワイプは、iPhoneで「iPhoneを探す」をONにしてから、iCloudにアクセスすることで実行できます。
いざというときのために、手順は覚えておくといいでしょう。
誰もが、会社のセキュリティ対策はすべきと理解しています。
しかし、いざ自分が対策するとなると、途端に面倒くさがって、後回しにする人が多いです。各社員の取り組みなしに、会社のセキュリティレベルの向上はありえません。
上記の対策はたった数分で出来るものばかりですので、この記事を読み終わった後にでも、すぐに試してみてください。