昨今、全国各地で河川の洪水処理能力を超える豪雨災害が頻発しています。
2015年9月には関東・東北豪雨で鬼怒川が決壊し、約7,000世帯が全壊、床上、床下浸水に見舞われました。
また、被害を受けるのは一般家庭だけではありません。
事務所や工場などの被害は、企業にとって致命傷になりかねません。
企業における浸水被害でいえば、平成23年9月にタイのチャオプラヤ川で起きた氾濫により、日本の大手自動車メーカーの工場は約5ヵ月ものあいだ、操業停止となりました。
私たちの会社にこのような事態が起こった時、次の日から通常通りの業務ができるでしょうか?
また、企業として、どのような対応が必要なのでしょうか?
今回は、洪水による災害に対して(1)事前に出来ること、(2)起こる直前に出来ること、(3)起こってから出来ることの3つのポイントについてお話ししようと思います。
事前に出来ること
まずは、集中豪雨が起こった場合に事務所のある位置が水害に遭いやすいのかどうか確認しましょう。
手段として、各自治体が発表している「洪水ハザードマップ」の活用があげられます。
洪水ハザードマップは、
- 大雨時に浸水が予想される区域
- 想定される浸水の深さの程度
- 避難場所・避難経路等の災害対応情報
が掲載されており、移転等の際は確認することをおすすめします。
次に、洪水が起きた際に事務所内への水の侵入を防ぐため、土のう、止水板などの浸水対策用品を準備しましょう。
最近では水で膨らませて使用するような保管が容易なタイプも出てきていますので、ホームセンターなどで手軽に手に入れることができます。
そして、サーバーやPCが水に浸かってしまうのを防ぐために、それらはなるべく高い位置に設置するようにしましょう。
加えて、データのバックアップをとることも必要です。必要に応じて損害保険の加入も検討しましょう。
起こる直前に出来ること
雨が降り続き豪雨被害が予測されれば、まずは周辺の川で洪水や堤防の決壊が起きていないかを確認しましょう。
国土交通省から「川の防災情報」(※)として、随時発表されています。
川や下水の氾濫が予想されれば、水が来る前に事務所の出入り口に土のう、止水板を設置し、浸水を未然に防ぎましょう。
その間に水に濡れるとまずい書類や下層階で使用しているPC等を上層階へ移動させるとより安心です。
そして、従業員が災害に巻き込まれていないかを確認し、早期帰宅を勧めるか、避難場所へ誘導しましょう。
起こってから出来ること
被害に遭った後は、いかに早く事業を再開・継続させるかが重要です。
そのためにまず、会社の被害状況を把握しましょう。
従業員・事務所・在庫が稼働できるか、流通インフラが復旧しているか等を確認します。
自社の状況がわかったら、顧客や協力会社と復旧までの目標計画を設定して速やかに実行に移します。
事前の準備があるかないかで、災害後の会社の経営状況が大きく分かれます。
洪水のような自然災害で経営存続できなくなることを「仕方がない」と諦めるのではなく、自分たちで出来る範囲からでも準備を進めていくことが、経営存続の危機を救うきっかけになるのではないでしょうか。
(※)国土交通省「川の防災情報」