概要
大阪南労働基準監督署が、推定約1,700件の労働者死傷病報告書の所在が不明になっていると発表しました。
同報告書は、労働者が労働災害などで死亡や休業した際、事業者が提出する書類です。被災労働者の氏名や年齢、障害の部位のほか、発生事業者名や発生した日時、状況などが記載されています。
報告書の保管期間は、5年と定められており、月別にファイルに綴じた状態で署内のロッカー内で保管していますが、同署では、2012年や2013年度分の綴りの背表紙には、保管期間が「3年」と誤って記載されており、所在不明となっている24冊も同様だった可能性があると推測しています。
大阪南労基署は廃棄文書のリストにこれらの報告書が記載されてはいないものの、背表紙の記載から文書の保管期間を誤認し、誤って廃棄したと説明しています。
また労災保険の療養補償給付の時効は2年で、これら報告書に関連する労災については、すでに請求権は消滅しているようです。
誤廃棄した労働者死傷病報告のうち、休業見込み日数が4日以上のもの(1,623件)は、機械読み取りシステムに同様の情報が入力済みだそうです。
タイムライン
2016年4月25日(月)
大阪労働局管内の労働基準監督署から大阪南署に対し、特定事業場に係る労働者死傷病報告写しの送付を依頼。
2016年4月28日(木)
大阪南署安全衛生課において、本件発覚。
2016年5月2日(月)
管下労働基準監督署長へ本件の経過説明を行う。
2016年5月13日(金)
大阪労働局HPにて本件に関する報告文を掲載。
原因
弊社の見解
労働者死傷病報告書破棄作業に際し、廃棄文書リストチェックのダブルチェックなど、ヒューマンエラー対策体制が整っていなかったと考えられます。
被害
労働者死傷病報告の綴り24冊の誤破棄。そして、誤破棄情報のうち、休業見込みが4日未満のものに関しては、機械読み取りシステムに入力されていないようです。
対応
大阪南労基署は、本件発覚後直ちに全職員に対し、文書が保存期間を遵守して保管されているか総点検実施と、文書廃棄を行う際は、廃棄文書リストと廃棄予定文書との突合を確実に実施することの徹底周知をおこないました。
関連情報
大阪労働局「大阪南労働基準監督署における文書の誤廃棄について」(2016/05/13)(魚拓)
Security NEXT「労災関連資料を保存期間誤り廃棄 – 大阪南労基署」(2016/05/16)(魚拓)