IT業界においてはベンチャー企業の勢いが活発です。新規SaaSの提供など、小規模からスタートして多数のユーザーを掴んだ例もあり、アイデアやビジネスモデルによっては非常に有効なビジネス形態といえます。少数精鋭を意図して立ち上がられた組織であれば、コミュニケーションロスを削減でき機動性の高いビジネス構築が可能です。
そんなベンチャー企業にとって悩みとなるのが、大企業などの優良な顧客を掴む際に信用がなく、契約が結びづらいことです。いかに良いプロダクト、サービスを用意していても、利用してもらえなければその良さは顧客に伝わらず、ビジネスとして成り立ちません。
そんな場合の信用を得るための方策の一つが、社会的に信頼度の高い資格、認証の取得です。
外部からの認証を得ていることで一定の信頼を得て、組織の大小を超えて目を向けてもらいビジネスの機会を拡げることが可能となります。
特にIT業界のベンチャーにおいて信頼性向上に向けて必要とされるのがISMSの構築とその規格であるISO27001の認証取得です。規格に沿った情報セキュリティルールの策定と運用は業務上も有用ですが、人的リソースが豊富でないベンチャー企業にとっては後回しにしてしまいがちで、なかなか取り組みづらいと認識されている場合が多いようです。
本記事ではベンチャー企業がISMSを構築し、認証を得るメリットや注意点、認証を得る際のポイント、独力での構築が難しいとされる理由などを解説します。また、ベンチャー企業向けのISMS構築、認証取得コンサルティングについても紹介いたします。
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ベンチャー企業でのISMS取得の動向
これまでになかった新たなサービスを展開するベンチャー企業は日本でも増加傾向にあります。
ニッチな分野を攻めるサービスや、世の中にあるサービスを少し切り口を変えて展開するサービスなど、ベンチャーと言われる会社は失敗を恐れず様々なサービスを展開していることも特徴的です。
「おっ!」と驚き、興味を惹かれるサービスが非常に多いですが、その反面「この会社にうちの会社の情報を預けて大丈夫?」と不安に感じることがあることは、ユーザ側から見た正直な悩みどころです。やはり、これまで耳にしたことがない会社のサービスを利用する、取引するとなると利用者側として少なからず不安があり、安心できる材料が欲しいと考えます。
安心してもらうための手段の1つとして、情報セキュリティ管理の仕組みISMSを構築し、外部の規格を取得する方法があります。ベンチャー企業のISMS認証取得が増加している理由の一つが、この信頼性向上です。
ベンチャー企業がISMSを取得するメリット
ベンチャー企業のISMS認証取得のメリットは、大きく2つあげることができます。
メリット1: 取引が円滑になる
1つ目のメリットは、取引を円滑に進められることです。ISMS認証の取得は顧客のベンチャー企業に対する信頼感を向上させ、取引における障壁を取り除くものとなります。
ISMS認証の取得企業であることは、提供するサービスの利用を検討している企業が導入を決断するための材料になります。また、セキュリティの取り組みの確認をアンケート形式などで受ける工数の削減にも繋がります。
官公庁や自治体と取引する場合には、ISMSの取得が前提条件となる場合もあります。また、ベンチャー企業の上場にあわせて、企業規模にあったセキュリティ体制への強化を図るケースも存在するでしょう。
ISMSを取得していることにより、情報管理が出来ている会社・サービスであることをアピールすることができ、新規顧客の開拓を円滑に進めることにも役立ちます。
メリット2: 社内ルールの整備
2つ目のメリットは、社内ルールが整備できることです。ISMS認証の取得に向けて、ISMSの構築が必要となり、結果として企業の社内ルールを策定することにもつながっています。
ベンチャー企業では事業の展開・発展に注力していて、守りの部分である情報管理や社内ルールは無法地帯になりがちです。アクセス権の設定が不十分であったり、パスワードの桁数などが個人任せとなっているケースなどがみられます。情報管理において取り組みが不十分であったり、対応に個人差があるケースが多いです。ISMSの構築によりこれらのルールを整備します。認証の取得の前に、社内ルールの整備にも役立ち、企業全体の情報セキュリティ教育を支援します。
ベンチャー企業がISMS取得をする際に注意すべき点
ベンチャー企業がISMSを構築し、認証を取得する際には注意点もあります。本項では、この注意点について記載します。
最も大きいポイントは社内の体制、社風、文化に合わせたルールの整備や取り組みを行うことです。
ベンチャー企業の代表や役員の方などは、大手企業の管理職を経験されている場合も多くあります。元いた会社でISMSを取得していて、「ISMSはしんどいもの」、「ルールは重たいもの」、「ベンチャー企業で取得すると業務への制約が強くなる」と言ったイメージを持たれおり、それがISMS構築および認証取得へのハードルとなるケースもみられます。
ベンチャー企業の多くが「自由を好む」社風であり、あまり束縛し過ぎない組織を求めています。社内ルールや統制を図る必要はありますが、ルールの策定にあたり、重たすぎるルールとならないようにすることが一番注意すべき点となります。
ISMS構築や審査においてチェックすべきポイント
前項の注意点とも似ていますが、ISMSの構築においてはあまり束縛し過ぎないようルールの策定や取り組みを進めることがポイントです。
「ノートPCの持ち出し禁止」や「クラウドサービスを利用しての業務は禁止」といった禁止ベースの内容で進めてしまうとルールと現場の乖離が発生してしまいます。
また、ISMSの認証に向けた審査の際にルールと現場の乖離があると「不適合」となってしまう可能性もあります。身の丈にあったルールの構築とその徹底が審査における重要なポイントといえます。
ISMSは構築して認証を取得した後も継続して運用する仕組みです。ルールが厳しすぎて形骸化してしまっては本末転倒となってしまいます。
ベンチャー企業においてISMS構築は独力では難しい
ベンチャー企業は攻めの姿勢を持ち、事業を推し進める必要のある組織です。しかし、ISMS構築におけるルール上は攻めだけではなく、セキュリティ対策などの守りとバランスをとったルール作りが必要となります。
自由さが魅力の組織であり、ルールで縛ってしまうと社員の活躍を妨げてしまう可能性もあります。テレワークなど柔軟な働き方に対応したルール作りが必要となるでしょう。
その中でもISMS構築事例でポイントとなった点には、下記があります。
情報資産管理
ISMSで管理する情報はデジタルデータを含めると膨大な量となります。業務をすべて把握している人がいないため、洗い出し作業には時間がかかります。
リスクマネジメント(リスクの評価と分析)
ベンチャー企業の場合、ISMSにおけるリスクマネジメントのノウハウがなく、自社内で対策をたてて、改善サイクルまで考えるのに多くの労力が必要となるケースが見られます。
ベンチャー企業のリソースは貴重
ベンチャー企業は人的リソースを事業に投入しており、そこに注力したいことが多いでしょう。ISMS構築や認証取得を自社で行うことは不可能ではありません。しかし、ルールの策定やマネジメント運営などベンチャー企業がノウハウを持たない部分を最初に行う際には、お金がかかってもコンサルティングサービスの利用をしたほうが効率が良いと判断されるケースが多くあります。
LRMがベンチャー企業のISMS構築に選ばれる理由
LRM株式会社ではISMS構築・認証に向けたコンサルティングサービスを提供しています。
特にベンチャー企業に多く選んでいただけており、2020年に上場した企業のうち、ISMS認証を取得している企業の約20%が弊社でご支援したお客様でした。
LRMのISMSコンサルティングはベンチャー企業への支援実績が豊富です。業種だけでなく企業規模が近似していることも事例として利用するには重要なポイントとなっており、ベンチャー企業向けISMSコンサルティング実績を幅広く多数持っていることも人気の理由の一つです。
LRMのベンチャー向けのISMS認証取得コンサルティングでは、特に下記のポイントが人気を得ています。
- ベンチャー企業のスピード感のある事業への対応という利点を活かし、このメリットを削がないルール策定
- 最大4冊の規程で完結するシンプルな文書体系をご用意
- 禁止ベースではなく、運用可能なルールを提案
- Slack、Chatwork、Googleドライブ、boxなどお客様の環境にあわせたツールを活用した支援
- ISMS構築・認証に向けたロードマップを熟知しており、効率的な推進を実施
- 認証取得後のアフターサポートも月々5000円からとリーズナブル
LRMのISMS認証取得コンサルティングについて詳しくはこちら。
まとめ
ベンチャー企業にとってISMS認証を取得することは、情報セキュリティへの対策具合を示し、顧客に信頼感を与え、円滑なビジネスにつながります。一方で、ベンチャー企業では自由さを求め、各人の独自性や裁量に任せてそれぞれがハイパフォーマンスを発揮するという考え方を持っていることが多く、厳しすぎる情報セキュリティのためのルール策定は逆効果となってしまいます。
その後の運用に無理がないようマネジメントシステムを構築するには、ISMS取得コンサルティングなどを活用して効率化を図るとよいでしょう。